tsuji-cam's HISTORY
ニユーテレスH
辻、新たなる大師匠と出会う
〜ドラマアシスタント@〜
の巻



当時のニユーテレスのアシスタントの過程のなかで
ある程度スタジオでチーフが出来るようになると
カメラマンになる前にやらされる試験のような仕事
があり、
それが、1カメドラマのアシスタントである。
それまで、ドラマのアシスタントは数えるほどしかやっていない。
ひょうきん族だいじょうぶだぁなどのコントには、
ドラマ的な要素は含まれているが、
本格的なドラマは本当に数えるほど・・・。

初めてドラマの仕事をしたのは、
片岡鶴太郎さん主演の
「季節の中の海岸物語」(ヒロイン:美保純)
カメラマンは高田さんと中島さん。
アシスタントは小川さんがチーフ。
次にやったのは田代まさしさん主演の
「悲しみがとまらない」
これもカメラマンは高田さん(2カメは花島さん)。
チーフCAは小川さん。
この日は物凄い雨でなおかつ朝方までロケをしていたのを覚えている。
このふたつはどちらかと言うと
バラエティドラマ
だったんだけどその次にやったのは
「水なき雲」という
丘みつ子さん主演・三浦綾子さん原作のドラマ。
この作品はSWがニユーテレス代表:梅谷さん。
チーフカメラマンは、藤江さん。
カメラマンが島本さん・田中さん(SJ社長)・青木さん・澤田さん。
3日間、三鷹スタジオに缶詰め状態。
独特の雰囲気だった。

(手帳が出てきたので情報満載です。)
そして
田村正和さん主演の
「ニューヨーク恋物語」のスタジオにも
一回だけ参加している。
技術はVASCが担当していたのだが、
SW梅谷代表。
(当時ボクは先輩達に、
「うちの社長って日本で3本の指に入る
ドラマのスウイッチャーなんだぞ!」

とよく聞かされていた。)
さらに、カメラマンとして現在めちゃイケ笑う犬のSWである
藤本さんが参加していた。
この作品のチーフカメラマンは、
あの古畑任三郎川田正幸さん。
当時21歳のボクは、川田さんの仕事振りを見て
「変わった人だなぁ・・・。」と思っていた。
スタジオで、チーフなのにハンディしかやらない事と
話術の軽快さ。

後年、「古畑任三郎」を見て
このカメラマンの素晴らしさ、偉大さを痛感
させられるのだが、
21歳のボクにはただの変わったカメラマンにしか見えなかった。

「津軽神話殺人事件」というドラマでは
フィルム撮影出身のカメラマンと仕事をした。
その時には、フォーカスマンと呼ばれる
専属アシスタント(しかも女!)が付いてきてにビックリ!!
(カメラから被写体までの距離を測り、
ファインダーを見ずにピントをあわせるという仕事。
カメラマンは絵を作るだけ)

ビデオの世界ではありえない!と戸惑った。
いろんなやり方があるんだなぁと
日々関心していた。


そんなある日。
ボクは技術部の田中十内部長
今度ニユーテレスの制作部が制作する
1時間ドラマのアシスタントに任命された。
このドラマはテレビ東京月曜22時(21時?)から放送された
「月曜女のサスペンス」
というシリーズの第一作目で
タイトルは「殺意の瞬間」
なんというわかりやすいサスペンスチックな・・・・・。
文豪・芥川龍之介「藪の中」をベースに
脚本を現代風にアレンジ。
主演女優は、なんとあの加賀まりこさん。
加賀さんのダンナ役いかりや長介さん
加賀さんの不倫相手(?)杉本哲太さん。
という3人の人間模様のドラマ。
正直、不安でいっぱいだった。
オレに出来るのかなぁ・・・。
そしてこの作品のカメラマンは
当時制作部の部長をなさっていた
波田野憲雄カメラマン。
諸先輩から聞かされていた波田野カメラマンの前評判は、
「かわいそうになぁ・・・。」「やめんなよ・・・・。」など、
「え!一体、波田野さんて
どんな人なんだろう・・・。」

と思わせるものだった。

波田野さんはあの藤江さんの師匠に当たる人で、
業界では有名な方らしかった。
もうその情報でボクはビビリまくっていた。
そしてボクは、
当時、曙橋の駅出口の近くにあった制作部の事務所
(僕らが通っていた技術の事務所とはちょっと離れていた)

に台本をもらいに行きつつ、
波田野サンに
挨拶に行った
コンコン
「失礼します!」
ボクは腹をくくって波田野部長のデスクの前に進み、
「今度のドラマで
アシスタントをやらせていただきます、
技術部の辻です。
よろしくお願いします。」
と頭を下げた。
すると波田野部長は、特に表情も変えず
プロレスラー:ディック・マードックに似ていて、
ギョロっとした目でボクを見て(波田野さん、すみません!)
「キミかぁー!・・・よろしくね。
台本しっかり読んどけよ。」

顔はどうやら知っていたみたいだったが、
名前は覚えてもらえていなかったようだ。

「はい!よろしくお願いします!失礼します。」
わずか1分に満たないこの初対面。
「そんなにみんなが言っているほどの人
じゃなさそうなのに・・・。」

制作部からの帰り、ボクはそう思った。

しかし・・・・・・。


つづく