tsuji-cam's HISTORY
ニユーテレスR
お世話になった師匠たち〜

この方たちがいなかったら今の辻はいないシリーズの第2弾!
志村けんのだいじょうぶだぁ
スウィッチャーさんである
岩沢忠夫さんの話です。
何の話から書こうかずっと迷っていたので、こんなに更新が遅れてしまいました。
僕にとって岩沢さんはそれだけ、
感謝しても感謝してもまだ足りない
それくらい
お世話になった、育てていただいた方である。
ニユーテレス
に入ったばかりの頃は、
カメアシの僕にとって、SWさんは
偉大過ぎて接点が少なく、あまり怒られたという記憶がない。
岩沢さんにいろいろ怒られたり、教えていただいたのは
そろそろカメラマンを・・・という時期である。
何せ、
だいじょうぶだぁという番組は前にも書いたように
ドライリハーサルをやったらすぐ本番という番組である。
カメラマンも大変だと思うが、
SWさんなんてホントに
技術と感性の勝負である。
そんな岩沢さんに、
初めて「カメラをやれ」と言われたのは、
だいじょうぶだぁではなく、
所ジョージさんのやっていた
「所さんのただものではない!」(CX・土曜7時〜)という番組。
カメSWの番組で、チーフは現めちゃイケSW藤本さんだった。
この番組は、
リハーサルが終わると2時間くらい空き時間のある番組で、
ボクは、アシスタントでついた時も、違う仕事の時も、早く終わったりすると
ただもののスタジオにカメラ(スタンダードカメラ)の練習をしにいって
本番を、SWの岩沢さんのとなりで見学していったものである。

ある日の収録、5カメを担当している
先輩怒られた!
「何やっているんだ!お前は!!」

そして次の瞬間、ボクは全身が震えた。
「来週からお前がやれ」
「はい・・・。」

もちろん、
自信のある返事なんかじゃない
ただ、
「出来ません。」とは言えない。
先輩に気を使っている余裕もなく、ボクは自分の置かれた立場にただただ緊張していた。

そして
2週間後、その日はやってきた。
ただものではない!の5カメは、決まりカメラワークがあって、
オープニングテーマが終わり、生バンドが演奏する中、
所さんが、滑り台になっている大きな人形の口から登場する。

それを生バンドの演奏に合わせて、
所さんが登場する直前までに大LS(ひきの絵)から、良きサイズまでズームインする
というカメラワーク。

これがまた
物凄く緊張する
D・SW・カメラマン全員がボクのズームインに注目している。
RHでボクは、納得いくズームインが出来なかった。

練習不足だ。

リハ終わりの2時間、ボクは100回、いや200回以上は練習した。
本番始まる直前までやった。

でも、自信は、沸かなかった。


そして、本番・・・・・。

ボクは大緊張の中、ズームインした。

岩沢さんは怒らなかった。

僕自身、上手くいったのかNGだったのか?
そんな事、自分ではわからなかった。

でも本番は、そんな事ではやり直しはしないし、
番組はドンドン進んでいくので、みんなそれどころじゃなかった。

怖い事に、みんなその事には触れなかった。

ボクも、先輩に
「どうでしたか?」聞く勇気がなかった
オンエアーを見た。
おろされてしまった先輩より、
ボクの方が全然下手だった。
そして、
次の収録の時に岩沢さんがこう言った。
「下手だと思ったら、納得いくまで練習しろ、あそこだけはお前の時間だからな。」

多分、岩沢さんは覚えてらっしゃらないと思うけど、
そうアドバイスしてくれた。
うれしかったけど、プレッシャーもあった。
でも、なんで怒られなかったんだろう???

何回かめの収録後、事務所で
お酒を飲みながら
(当時はよく、
事務所で反省会・・飲み会じゃない反省会をお酒を飲みながらやっていた)
岩沢さんはこう話してくれた。
「あいつ(先輩)とお前じゃ、カメラの経験が違う。
2年やってるあいつと、1年のお前じゃ合格のレベルも同じじゃない、違うんだ。
今のお前の経験値で、あれくらいのカメラワークが出来たら、今は合格なんだよ。
ただ、安心するんじゃないぞ、ドンドン上目指していいんだから・・・」

と言われた。
しかも、例の先輩に、
「あいつは(僕のこと)、
お前のやっていたカメラワークよりもっといろんな絵をあげてるぞ!」

叱っているところを聞いてしまった。
期待してくれているんだ。
そう思うと
さらにやる気がさらに起こった。
「なんとか期待に答えなきゃ。
岩沢さんにも、藤江さんにも認めてもらわなきゃ!」

そんな気になった。
今にして思えば、
岩沢さんは、ボクが休み時間返上で練習し続けているのを
サブで見てくれていたのかもしれない。

後輩に教える立場になった今、
この時の岩沢さんの教えが涙が出るほど嬉しい。

ボクもこんな先輩になりたい。今はそう思います。


その何ヵ月後。

ボクは、
だいじょうぶだぁ5カメを任命される。



岩沢さんの話は、まだまだ続く。