tsuji-cam's HISTORY
ニユーテレス K
〜ドラマアシスタントC〜
テレビ朝日開局30周年記念ドラマ
「氷点」

極寒の地旭川ロケの話
先輩アシスタントの為谷さんの後を受け継いで、ボクは
テレビ朝日開局30周年5時間ドラマ『氷点』のロケに行く事になった。
ロケ地は、原作小説の舞台となっている
北海道・旭川市
北海道でも特に寒いと言われるところである。
ロケは1989年1月9日から28日という20日間
出発の2日前には昭和天皇が崩御されるということもあって
かなりバタバタした出発となった。
ボクは会社から出た出張費で、スキーウェアを買った。
スキーに興味ゼロの為、まさにロケ用防寒具だった。
氷点のスタッフは、
ボク意外は夏のロケ(為谷さんが行ったやつ)と同じメンバーで
VEは瀧本さん、ミキサーに田中(文)さん、
ブームに海老沢さん、S.U.の大塚さん、
カメラマンはもちろん波田野さん。
ボクにとってはドラマレギュラーチームである。

(この写真には、海老沢さん撮影だと思われます。見本林にて・・・。)

照明は木川さん、和栗さんと
現地のスタッフ
「コールツプロダクション」さんの混合チームだった。

毎日、本当に寒さが敵だった
バッテリーの消耗が早いし、
晴れていても防寒カバーを常にカメラにつけてなければいけない感じだった。
夜のシーンなんかは、防寒カバーのポケットのカイロ(使い捨てカイロは体温があってのものなので使い物にならないので、燃料で暖める白金カイロを使用)を入れて防寒をした。

それでも当時のカメラHL−79Eは画面の端っこにノイズっぽいのが出たりもした。
なんせ−38℃なんていう気温、想像つきますか?
まぁ−38℃は最低な数字ですが、−20℃なんてしょっちゅうだった。
「氷点」では、
朝早いロケが多いので本当に寒かった。
陽子という主人公の女の子が、自殺未遂をして倒れていて、
その陽子を探して兄と父が見本林を走る。

 
というシーンを撮る為に朝早いロケが続いた。
朝焼けのいい感じを狙いたい為に
1カットの為、4日間連続4:30出発なんて日もあった。
4日目にようやくOKになったので4日間で終わっただけで、
ダメだったら何日も続いたと思う。
それがドラマだ。
なんだ、今日も朝早いのかぁ・・・・なんて誰もが思わない。
そんな空間である。


深雪の上のきつねか犬の足跡を消す為に
全員で雪を篩いにかけたりした。

そういう所では木川さんはいつも隊長で、波田野さんは副隊長である。
ボクはいつもカメラが下に置けない為、番をしていた。
脚を移動する時は大きいクーラーボックス(バッテリー入れに使用していた)の上に
カメラを寝かせ、移動していた。
とにかく大変だったけどいい経験が出来た。
この頃はもう、
波田野さんにもあまり怒られなくなっていた。
ボクの事をアシスタントとして信用してくれていた(と思う)


そんなある日の朝。
ホテルで出発を待っていたボクに、波田野さんが
「おい、辻。コーヒー飲んでこうか?」と誘ってくれて、
ボクはカメラをロケ車に置いて、
ホテルの入り口の近くにある喫茶店に、波田野さんと二人で行った。
二人前頼んだコーヒーは、
瓶でできたコーヒーサーバーで出てきた。

一杯ずつボクらは飲んだ。
波田野さんは
「俺はもういいから、お前残さず飲めよ。」
お金を払って出て行った。
ボクはそれから、残っているコーヒーを残さず飲んだ。合計3杯。
その日のロケは悲惨だった。
10分おきの尿意。

なんとか怒られないようにその日をごまかした。
でもつらかったねぇ・・・・・・。

波田野さんは全然そんなつもりじゃなかったと思うが、
ボクはこの日以来、仕事前、仕事中に
コーヒーを飲むのをやめた。

コーヒーやウーロン茶は利尿作用がある!!

のだということを勉強した。
なんて、いろんなことをボクは師匠・波田野さんから伝授されている。

そんな波田野さんにある事件が!!


衝撃事件は次回につづく